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・幸佐
・幸村と政宗が密約を結ぶ話
・幸村伝のPVを観て「髪の毛と六文銭どこ行った???」ってなったので、どこへ行ったのか考えた
・六文銭がない+兄が出る
・もしや:大坂では兄を憚って旗印に六文銭を使わなかった説
・幸村は本家真田を憚って、総赤に金線の旗を使ったという
・だから陣羽織が赤と黄色なんかな???
・そういや政宗も兄だな…
・兄も大変だが弟も大変だな…
・基本妄想
・やや史実通説その他を援用
・と見せかけて、割と時代と身分がぐっちゃです
・佐助の諱(幸吉)は、講談か何かが初出だと思います
・私が付けたわけではない
・佐助以外にも由利鎌之助とか架空系十勇士が諱に「幸」の字をもらってた気がする
・そういうの好き
>>>
拳をついた床は、落日の光が映って、ぬめるように赤かった。
「真田左衛門佐殿配下、猿飛佐助幸吉が行状について、此度斯くの如く裁定致す」
頭を下げたまま、幸村は目付奉行の声を聞いた。
冬だというのに障子も立てず、西日がてらてらと油のように床を這う。虫も鳴かず、鳥も鳴かずはいいとして、しんと静まり返って人の気配もなかった。
猿飛佐助幸吉。
その名を、人の口から聞いたのは初めてかもしれない。
佐助に、名をやった。
それは信玄が伏せってしばらくのことで、別に誰に相談してのことでもなかった。単におのれが一軍の将に就くとなって後、ふと思えば、これを副将に据える、とした男に、名がなかった。
だから、名をやった。
「猿飛佐助幸吉、重敲の刑に処す」
笞打ち、と表情も変えぬまま、幸村は宣告の声を聞いた。
「貴君ならびにお相手方郎党お立ち会いの下、執行するものとする」
大坂の冬は雪も降らず、日も照って、生ぬるかった。元より十や二十の軽敲で済むとは思っていない。ならばいっそもっと冷えればよいものを、と幸村は床に映る影を見つめた。膿や腫れの傷は、その方が治りが早い。佐助は痛みにはよく堪えたが、熱を出すとひどく苦しがった。
「ついて」
大坂の日はだるく、赤く、床の上にのびる。
「執行の期日は明後日」
その中を、目付の声がとろりとぬけた。
「猿飛佐助幸吉、重敲きの刑に処す」
幸村は、ただ低頭したまま、その声を聞いた。
佐助には、幸村の名をやった。
*
大坂は川のにおいがする。
それが目玉のくぼみに溜まるような気がして、政宗は顔を歪めた。
「シット。城の中までこの湿気臭えのはどうにかならねえのか」
風が抜けないわけでもないというのに、この城は暗い。影の代わりに、形にならない霧が溜まっている。石垣の隙や柱の裏、薄く、暗く、川の穢れが溜まっていた。
「恩讐の類でしょうかな」
本丸を出る橋を渡りながら、小十郎は飄然とした顔で気味の悪いことを言う。
「本願寺を潰して、太閤殿が普請をし、それもまた道半ばで主を替え……。挙げ句よりにもよってここは淀川の真横とくれば、まあ、自然のことかもしれませんな」
「……おい」
「川伝いに全部流れて来たのやも」
「おい、やめろ」
「なるほど難波とはよく言ったもので」
まだ薄闇の中、堀の水面が生き物のように揺らめいた。
政宗はこういう暗い光が苦手だ。
上から下から、一千を超える流れを集めて淀む川。そして曰く、海に出でようにも浪は速く、波は難く、凪いでは油の如く、荒れては華のように波頭を散らす。月が満ち、月が欠け、潮が引き、潮が満ち、その度ごとに混じり、腐り、遡る。
「こういう土地は溜まると言いますが」
小十郎は渡り終えた堀端で、あからさまに何かを避けた。
「……おい、小十郎、おまえ今何避けた」
「いえ、別に」
「小十郎」
主の声に少し悩んで、龍の右目は首を傾げた。
「……かたまりですかね?」
何のだ、とは問わないまま、政宗は額を押さえた。
「こんなことなら煙草を点けてくるべきだったな」
「さあ、煙草が堪えるなんてのは所詮薄いやつらだけですよ」
「へえ、そうかい」
ここでは無駄か、とそう思うとおかしかった。
「ですが、どのみちここでは月に負けてしまうでしょうから」
月か、と政宗は自分の影を見た。
のたり、のたりと二人の後をついてくるように、堀の水が揺れる。
誰の指図か知らないが、大坂の城には草木がない。普通なら城攻めに遭った時を考えて、脂用の松くらいは植えておくものを、本当に苔や芝草の類も見当たらなかった。ただひたすらに、延々と石と砂と、乾くことのない暗い水。
あの男は、地獄に城でも築いたつもりかと、風の止まった白壁の通りを歩いた。
いつの頃からか、大坂は月が沈まなくなった。
「小十郎」
いや、単に、あの男にはもう地獄も現世も違いがないのかもしれない。伴天連の耶蘇のように、あれにとっての天主の失せた世など、憎しみを詰めるだけのうつせみなのだろう。そも、その亡き太閤の城を攻めようなどと許すはずがない。怒りで脚を燃やしてこの世の果てまで追い詰める。
ならばどうせ松など不要か、と一際囲いの高い屋敷で足を止めた。
「開けな」
もうあれにとっては、この城が天主から遺された唯一の聖蹟なのだ。
礼拝のためだけに、新しく造り続けられる遺跡。
「ご立派な構えじゃねえか」
黒塗りの門が軋む。
そんなところに混じるような男ではないと思っていたのだが、と政宗は虎の男の顔を思い浮かべた。そういえば、あれもまた、別の宗旨の天主を持つ身だったか。
「……政宗様」
傲然と顎を上げて、政宗は笑った。
心中が知れれば、これはきっと激するだろう。
政宗は端から王として生まれた。
王は、奪うために在る。
「通る」
開いた門の向こうは、何の火も焚かれていなかった。
なるほど、と政宗は唇を歪める。
本丸からここまで、人はおろか、夕飯の煙さえ匂わなかった。誰もいない。今ここに奥州筆頭とその右目、双龍が並んでいることを知る者は、采配をした者の他にない。
もしあれば、それはどちらかの敵だ。
ただ、月だけが見ている。
不意討ちをおそれたのか、小十郎がちらりと壁際に目をやった。
「無粋な真似はいらねえだろう、小十郎」
「左様でございましたな」
赤も、白も、今この城に巣くう両雄は、どちらもそういう仕打ちを疎んじた。
けれども政宗は、そのどちらもが可愛い影を飼っているのを知っている。
何もない。一面に広がる白砂はただ光る。
無数の砂粒の下で、暗い隙間が、小さな歯で互いを噛んで音を立てた。
「悪いが案内を頼むぜ」
それを殺すように、踏み出した一歩が、見えない雷光を宿す。
西の闇は、共食いの性だ。
夜になるほど、影が影を喰らって、闇が煮える。太らず、倦まず、落日の中でこそ、煮えてうつわを滾らせる。
そうしていつの間にか、美しいほどの色になる。
「どちらまで」
番所の役人は政宗の顔も見なかった。
「少しばっかり、ましらを撫でに行ってやろうと思ってな」
「へえ、ましらを」
男はそれきり口を利かなかった。
ああ、これは一生この夜のことは他言しないのだろうな、と政宗は笑った。
太閤の軍師が、そういう人間を育てるのが上手かった。
そう思うと無性になつかしかった。
この月はあの男の目に似ている。
にゅうっと手が伸びて、菓子盆を探る。
佐助は餅菓子が好きだ。食いものは基本的に大きくて重いと喜ぶ。
「食ってきたのではないのか」
取りやすいように、佐助の方へ押してやる。
ちょっとだけね、と佐助は白い息を吐いた。
「ふうん?」
幸村は月の内、だいたい用事のない間は、真田の郷の屋敷にいる。
城は戦時の砦であればよく、平時は役場であり、花見の場所であればよいと思っていたので、西では武身は普段から城に住むものだと聞いて驚いた。なんと面倒なことだ。平地にある上田城ならともかく、山上にある砥石城や松尾城など、住むには不便が多すぎる。だいたい砥石城は子供の頃に一番上の郭から落ちた。その時の傷はまだどこかに禿になって残っているはずだ。
「城に来たと鳥が飛んで来たぞ。だからてっきり向こうで寝るのかと思ったが」
「あー、お城住みのやつらは顔見ただけ……。すぐ帰って来たし。っていうかわざわざ鳥飛ばしてくれたんだ? あいつら最近あんたに会ってないっぽいし、そのせいじゃない?」
「いや? そうでもないのだがな?」
「あいつらご主人が来てくんなくてさみしいんじゃん。バッカじゃね」
「よく言うな」
「いいじゃん。あんたがご主人様なんだからさあ」
「そう言ってもらえるのはありがたいが、おれもまだまだ若輩者だ」
「そだね」
あっさり肯定されて、幸村は眉を下げた。
佐助たちは、幸村が十の頃に、父が甲賀から連れてきた。
それから幾度もの戦や討伐に連れ出して、今も最初の人数のまま十人、誰も減らずに幸村の下にいる。そのうち半分は守りがてら城に住んでいて、もう半分は郷の屋敷に、佐助だけが幸村について甲斐だの上田だの、あちこちをうろうろしていた。
「おまえこそ頻繁に連絡をしているのだろう。ついでによろしく言うくらいのことはしておけ」
「はあー? おれさまたちはお仕事でやりとりしてんの。そんくらい自分で言いなって」
「あいつら、顔を見るとちくちく嫌みを言うではないか……」
「あんたが大した用事もないのに、やれ甲斐へ行け、お館様に何を届けろだのばっか言うからでしょ。あいつらもひまじゃないんだよ。お城空になっちゃうじゃん」
「その程度で城が落ちるか」
「落ちたらどうすんのよ」
餅を咥えたまま、鉄瓶を火に掛ける。
「たとえそれで落ちたとて、おまえたちのせいではない」
「そりゃそうですけど。もうちょいいい感じのお役目がほしいよね、平時だとは言えね」
そんなに煮立たせてどうするのかと思うが、佐助はとにかく熱ければ美味いと思っているらしく、鍋でもなんでも湯気で真っ白になるほど煮立たせたがる。
「何にも変わりはなかったよ。上田は平和だね」
ぐっと喉を鳴らして口の中のものを呑む。幸村にはどうも佐助がものを丸呑みしているような気がするのだが、腹を壊さないところを見るに、支障はないようだ。どういう腹の仕組みをしているのだろうとたまに思う。
「上田は平和か」
寒さのせいか、湯呑みの中は冷え切っていた。
「そうね、上田はね」
佐助はまだ湯気の立つ器に口をつける。
「……甲斐はどうだ?」
「そうね」
ふうっと呼吸に湯気が揺れた。
「荒れそうだね」
冷めた湯の面に、険しい顔をした自分が映った。
「今川殿も厄介なことを……」
ちら、と佐助の目が、幸村を見て光る。
「ちゃんと皆殺しにしとけばよかったって思った?」
ゆっくりと眉を顰めて、幸村は口許を押さえた。
「……それが出来るような御仁なら、今川殿もご健在であっただろうがな」
「だよねえ。さっさといなくなっちゃってさあ、いい気なもんだよね」
「そう言うな」
苦い気持ちになった。
どこが消えてどこが残るのかなど、戦国の世、誰にもわかりはしない。
けれども、井伊など、考えたこともなかった。
遠州は疾うの昔に、三河の徳川が獲ったものと思っていた。どだい、それより前は今川のもので、井伊など、その今川に攻められて互いに毒と讒言で離散したとしか聞いていない。井伊の本家の跡継ぎがどうのと言われても、今さら、だ。
火を見つめるまぶたが乾く。
「次郎法師などと総領名を名乗るものだから、てっきり男だとばかり思っていたが……」
「直虎ちゃんなんだよねえ」
面倒だというのが、疲れになって表情に凝る。
ため息が出た。
「……どんな女人であった」
「さあ?」
佐助は鉄瓶に手を伸ばす。
「なんか乙女の生き方どうこうって言ってるらしいけど、まあ、うちには女はいないんだから、関係ないんじゃない。吾妻の方でくのいち出してる人たちはいるけど、武田も真田も身内で女武将はいないでしょ?」
「おらぬな」
継ぎ足しの湯は、柱のような湯気を噴いている。
「そもそもろくすっぽ女が生まれん」
「あ、そうなの? っていうかまず女どうこう言うなら、織田か前田に行きなって話でしょ。武田真田相手に乙女どうこうってお門違いもいいとこでしょ」
上杉でもいいけど、と小さく唸る。
ああ、と幸村は金色のうさぎのような忍を思い出した。
「かすが殿はお元気か」
「知らね」
佐助は唇を尖らせた。
「おれさまあいつなんか関係ないもん。っていうか軍神が生きてんだから生きてんじゃないの」
「そういうものか」
知らね、と佐助は鼻を鳴らした。
「だいたい婚儀だか婚約だかがどうなったのか知らないけどさ、そんなのおれら関係ないじゃん」
「全くだ。その逃げた男の首が欲しいと言うなら手を貸さぬでもないが。婚儀に遅れた破談になったの我々が恨みを受ける筋合いはあるまい」
「だよねえ。あほらし」
「そもその戦、お館様のご采配で命ばかりは助かったとなぜ思わぬのか」
「さー? あれなんじゃないの? 恋しちゃったら一直線ってやつなんじゃない」
「なるほど」
かすが殿も、と言いかけて、口を噤んだ。
そう言えばこれも許嫁だなんだなどと胡乱なことを言っていたのだった。
手の中の湯気があたたかい。流行病のようなものだったのだろうか。近頃、もうぷっつり言わなくなった。病だとしても、随分恥ずかしい病に罹ったものだ。
「……旦那、顔に出てるよ」
低い声で我に返った。
「なるほどおれさまがなんだってえ?」
「いや、あれだ、あのあれ、伊予の巫女殿を思い出してだな……」
「へええ、伊予のあの子ねえええ」
佐助は性根のひん曲がった顔で幸村を覗き込んだ。
「旦那、あやまって」
「おまえその顔をやめろ……」
「おれさまがどんな顔しててもおれさまの勝手でしょー」
「薄目をするな薄目を!」
よく考えれば、嫁を取るも婿に行くも何の予定のない男が、冬の炉端に二人して、他人の婚礼の話をしているのもおかしいような気がした。
「あーあ」
佐助は当てつけがましくため息をついて炉端に転がった。
「もうおれさま訳わかんね」
幸村×佐助。
現パロです。
現パロですが、サイト等の大学パロディとは全く関係ありません。
特に細かい設定とかはないので、雰囲気で読んでもらえたらうれしいです。
政宗と慶次が幸村の知り合いです。
また、人によっては結構地雷があると思うので、サンプル等見て、事前にご確認ください。
・ホモ×ノンケ
・ヤリチン受け
・佐助巨根
・幸村チン毛剃られる
割といつも通りです。
>>>
男にされたって言っても、まあ、手コキくらいならセーフだろ、と思ってたら、そのまま口でされて、やばいホモやばいって思ったけど、あんまり自然だったから、佐助はそれっぽくはあはあ言ってホモの技を堪能した。やばいホモやばい。ちんこ咥えてるのにまつげ光ってる。
気持ちいい。
「──ん」
さすが、いきそうになってるのがわかるらしい。
咥えたまま、一瞬迷うような顔をした。
そりゃ、知らないやつに出されるの、いやだよね。
そう思ったら、その顔に、すごい、ぎゅんときた。
「あ……」
でも目が合った瞬間、何を言ったらいいのかわかんなくなって、佐助は無駄に腹に力を入れた。
「う」
お互い、どうしたものか同じことを考えていたらしい。ぞろりと毛を撫で上げられて、目が合った。
そんな合図の仕方あるかよ、と佐助はびくびくした。
男はものすごく、きれいな顔をしていた。
美形とか、イケメンとか、そういうやつなんだろうな、と思った。そうだ、ジャニ顔だ、と佐助は漏れそうになる喘ぎを噛み殺した。初めてのホモがこんなのなら、ラッキーだ。
「いきそう……」
たぶん、一回出して、手で扱いてくれるんだと思う。佐助の目を見たまま、舌がぬるって動いた。無表情だった。佐助は、その顔に、欲情した。
ぶっかけたい。
さっきから男は唇だけで佐助のをはむってしてて、その感じがものすごくかわいかった。ちょう態度でかかったくせに、と足を開かされたまま、佐助は腰をぐいっとした。そしたら男は思いっきり舌を擦られて、いやな顔をした。喉にも力が入る。なのに口の中では、宥めるみたいに佐助の裏っ側を舐めてくれて、佐助はちょっときゅんとした。
「うわあ……」
かわいい。
キスしてる間中、乳首触られてたのなんて忘れた。
くちゅくちゅ音させてくれて、頭の中がハートでいっぱいになった。
よく考えたらケツ丸出しで仰向けにされてるって結構恥ずかしかったはずだけど、その時はひたすら、ぶっかけたい、くらいしか思ってなかった。
「ね……」
佐助が何を言うのかわかっていたのだろう。
「口に出していい……?」
男は無言で拒絶するように、舌で佐助を押しのけた。
「あ、う……」
出されちゃう、と男がだるそうに口を開けるのを見ながら、佐助は、この顔がとろとろになったらかわいいだろうな、と思って、興奮した。っていうかたぶんどうせイケメン同士でしゃぶり合って乳繰りあってるんだろう。
「は、あ……んっ」
佐助は、男のイキ顔を想像して、射精した。
「うっ……」
驚いたのか、男は短く声を出した。
「あん……」
残念、と佐助は射精の残りを、男に飲ませるところを想像して、思いっきりびくんってした。
気持ちいい。
昔女の子に、あんたは金玉もちんこもでかいからそんな気持ちよくなっちゃうんだよって言われたことがある。でもそうかもしれない。いっぱい作ったやつが通るところが長ければ、その分気持ちよくなれるのかもしれない。
佐助はぐちゃぐちゃにされたところを男にさらけ出したまま、最後の残りをとろりとさせた。
「はあ……、ん」
それをホモは、侍みたいな無表情で見下ろしていた。
「あ……、ごめん……」
ふわふわした気分でその顔を眺めて、佐助は金玉をきゅんとさせた。
「ごめん……」
男はとっさに逃げようとした方向のまま、佐助の精液を顔につけていた。
「ごめんってば……」
無表情すぎて、佐助はもう一回謝った。
そんで、改めて、やばい、と思った。
「怒ってる……?」
そしたらめっちゃいやな顔されて、口の中のやつを吐かれた。
そりゃそうだろう。
「いや、あのさ……」
とりあえず言い訳をした。
ちんこ丸出しで見下ろされて、佐助は一応、あの、と言い訳をした。なんか毛のところがそわそわする。っていうかよく考えたら、ホモの前でちんこ丸出しってやばい気がする。でも今さら足閉じるのも男らしくないっていうかむしろ逆にやばい気がして、佐助はそわそわと男の視線から逃げた。
「おれ、悪いって言うか……どっちかって言うと……被害者だし……」
たぶん、地雷を踏んだ。
「ほう」
実は、佐助が一番覚えているのは、この声だったりする。
その言い方が、ものすごく背骨に来た。
「よくわかった」
男は佐助を見下ろしている間中、ずっと無表情だった。
それでなんとなく、しばらく見詰め合っていた。そうしているうちに男が携帯を取り出した。無言で口許を拭う。それが妙に色っぽかった。
佐助は、ゆっくりぞわあっとしながら、男を眺めていた。
ほんとにきれいな顔してるな。そう思いながら、拭われた自分の精液のあとを見ていた。
やばい、かわいい。
女装とかしてくんないのかな。それならおれもいけるかも、とか、ほんとうにどうでもいいことを考えていた。地雷を踏み抜いた認識などなかった。
「よくわかった」
だから佐助は、いまいちとろんとした頭で、自分に向けられたiPhoneのカメラを眺めていた。iPhoneとか使ってるんだなー、くらいにしか思っていなかった。
「──え?」
何が起こったのかわからなかった。
目の前のiPhoneから、カシャーッ、と聞き慣れた音がした。
「……なっ」
「よく撮れるな」
無表情の男の手の中で、カシャーッ、と最大音量でシャッターが下りる。思わず声が出た。
「なにしてんだよ!」
「訴え出るなら証拠がいるだろう」
被害者なのだろう、と隠した指からはみ出したものごとファインダーに納めて、男は吟味するように画面を眺めた。
「顔もいるか」
殺される瞬間って、こんな感じなんだと思った。
向けられたレンズに、小さく自分が映る。佐助は目をつぶった。
「写真が欲しければ言え」
またシャッターが鳴る。殴られたみたいな痛みがあった。
「訴え出るなら、警察なりなんなり付き合ってやる。まあ……」
液晶を眺めて、男は、くっと小さく笑った。
「……ほんとうに女好きしそうな顔だな」
そしてまた、佐助の表情をファインダーに納めた。
獣みたいな顔だった。
そのまま携帯を仕舞って、さっきまで男を咥えていたとは思えないほど、淡々と階段を上る。
うそだろ、と思った。ちょっとこれおれまじリアルに被害者じゃん。
やばい。
佐助は叫んだ。
「──ふざけんなよこのホモ野郎!」
錆を踏む音をさせて、男が振り返った。
やばい、このまま行かせたら終わりだと思った。
「なんだよ、てめえがホモなのが悪ィんじゃねえか!」
男はため息をついて、人形みたいに、ほんの少しだけ眉をひそめた。
「おまえ……バカだな」
それだけ言って、男は踵を返した。
佐助は必死になった。追いかけなければ、と思うけれども、腰がゆるゆるで立てない。
「誰がバカなんだよっ! おれさまホモじゃねえもん!」
しようがないから、佐助は一人でぶち切れた。
「ホモじゃないやつ相手に無理矢理したら強姦じゃん! おれさま違えし!」
「……ほう」
見下ろした男はものすごく綺麗な顔をしていて、佐助は声もなく圧倒された。
「おまえもそうならいいのか?」
ちょっと、ひくんとした。
「自分から男に腰を振るような男相手なら、いいんだな?」
「え」
「わかった」
やらされんのかな、と思った。
さすがに三回は無理、しかも男、と間抜けなことを考えている間に、引き倒されて、キスをされた。
「ふ……」
「噛むなよ」
耳を塞がれたら、ぐちゅぐちゅされる音が聞こえる。
「ううう」
分厚い手が腹を撫でる。
そのまま男の指で乳首を弄られて、佐助はちょっと勃起した。
舌が熱い。
「んう」
音がいやらしく聞こえてぼうっとする。
「どうしてほしい」
「あ……」
てっきり自分がする方なんだと思っていた。
「好きにして……いい、よ……」
「は」
「いいよもう……」
男は少し、感動したみたいな顔をした。
瞬きをして、佐助を見た。
「いいのか」
「いいよ」
そしたらそのまま思い切り犯されて、佐助はそれから一週間、アイスばっかり食べる羽目になった。
「手書きwww」「文集かwww」と知人が揃ってだいばくしょうですが、読んでもらえたらうれしいです;;
>>>
・3の後、関ヶ原に向けて暗躍する佐助と、脱水底した幸村の話
・宴の佐助ストーリーより後くらい
・の冬
・大谷がちょっと出て来ます
・あの輿ふしぎ
・真田家の男は大体刺青入ってる
・っていう設定が活かしきれてない感じが残念
・作中、真田兄(沼田)から手紙が来ます
・上田ー沼田ー日光は鳥居峠越えて直線100キロくらいと意外と近いらしい
・という感じの地理感覚
・表紙はフジタさん(九頭)が描いてくれました
・フジタさんありがとう
・印刷所はポプルスさんにお願いしました
・ほんとうにありがとうポプルスさん
>>>
便所は、ひいらぎの花の匂いがした。
霜の降りる頃には、暮れ六はもう暗い。冬場は屋敷の者が囲炉裏端に寄って、順々に夕飯を済ませる。八つ時を過ぎれば辺りは黄昏の気配がした。夏のように膳だのなんだのと言っていては、真っ暗な中で冷や飯をつつく羽目になる。ただでさえ気の滅入る季節に、進んでそんなせつない思いをしたがる者があるはずもなく、自然手の空いた者から囲炉裏の鍋に箸を伸ばす。
鍋の中身はだいたいお定まりで、雉か鴨かの鳥の日か、たまに牡丹の入る日があって、あとはみんな芋の日だ。芋でなければほうとうで、とにかく冬は腹が減る。腹が減って仕方がない。確かに火の周りには魚が刺してあるし、豆腐も味噌をつけて焼いてある。鉢には野沢菜の盛ったのがあるし、食いたければ食いたいだけ食ってどうということもないのだけれど、やはりそこは横や後の者への遠慮がある。
「幸村様、魚」
「いや、もう食べた」
「あ、じゃあちょっと」
あぶらが鼻の奥でつんと香る。
「川の魚が食べられるのももう少しですねえ」
白い身が骨から離れて、やわらかい湯気を立てる。
「ザッコ掬いは寒いからなあ」
頷きながら芋を食う。漬け菜の塩辛いのが喉にしみた。
とにかく冬は腹が減る。
だから早々に寝たというのに、目が覚めた。
耳が冷たい。ふとんから突き出した頭が、じいんと痛むほど冷えた。風呂から出て、頭を拭かなかったのが悪かったらしい。小便がしたい。まだ寝入ってさほど経ってはいないようだというのに、小便に行きたい。
外は、閉じた目にもわかるほど月が明るかった。
こういう夜は、ことさら冷える。
「むう……」
幸村は往生際悪く、ふとんの中にまるまって、便所に行きたいのをごまかそうとした。
けれどもそれで腹の中のものがなくなるわけもなく、二、三、ごろごろと転がって、幸村はようやく雪隠に立った。
冬の便所ほど面倒なものはない。板の間は歩くだけで足が冷えるし、雪の晩には肥もゆばりも皆凍る。しかも、目が覚めれば、腹が減ったのを思い出す。
寝ぼけまなこでしぶしぶ冬障子を開ければ、案の定、腹が鳴った。
うさぎが食いたい、と張りついた目を擦って、煙のような息を吐く。
庭の椿は、月光を浴びて凍りついたように白く光っていた。
霜が降り始めてから雪が降るまでの間が、年の内で一番食いものがつまらない。
うさぎ、熊、アオジシ、鹿、猿、と雪の後の食いものを考えながら、幸村は便所の格子をぼんやり眺めた。外が明るい。
満月は済んだというのに、とあくびをすると、小便の湯気に混じって、花の匂いがした。
白。
それで、急に、目が覚めた。
「ひいらぎか……」
目が覚めた。
格子の向こうに、濃い青の葉が見える。丸葉と棘のある葉が枝に半々になっていて、子供時分にずいぶん不思議だった。その葉の根元に、白い花がぎっしり詰まって付いて、水で溶いた蜜のような、澄んだ香りを夜陰に放つ。
冬というのが、すとんと腹の中に落ちた。
「おお」
常より大きく身震いして、幸村は竿を振った。
冷える。寒い。腹が減る。
冬か、と幸村はその花を見た。
小さく、細々と、香りばかり無限のように溢れ出す。
そういえば、佐助がこのにおいを嫌がった。ふと思い出して、目をやった格子の向こうに、裏木戸をかたんと鳴らして、提灯の明かりがひとつやってくるのが見えた。
「佐助」
無言で明かりが目の高さに上がる。
人を誰何するのより、自分の顔を隠すしぐさだ。暗がりで姿を隠すには、光の裏側に立つのが一番いい。屋敷の中へまで入っておいて、隠すも隠さぬもあるまいとは思うのだけれども、佐助はまだ、里で躾けられたのだろう癖をなくさずにいた。
「だんなあ」
なにしてんの、と忍の声が格子をくぐる。
「便所だ」
何もくそも、と言うと、そりゃそうね、と明かりはまた音もなく忍の足許を照らした。
「寒いね」
外へ出るなら紋付きを使えと言うのに、佐助が提げているのはまた黄ばんだ無紋の古提灯だ。特に気に入りというわけでもないようなのに、日頃どこに隠してあるのか、家中の者が取り替えさせようとしてものらりくらりとごまかしてしまう。
便所の戸を出ると、ぬっとその提灯が手水鉢の上に突き出した。
「手洗いなよ」
ほら、と千両の株の越しに柄杓を出して、佐助は提灯を揺らした。
「ちんちん腫れるよ、ちんちん」
「腫れるか馬鹿」
「わかんねーよ、旦那ちんこいじり方下手だもん」
「おまえと一緒にするな。おれはおまえみたいに薬がいるほどこねくり回したりはせぬ」
「あっ、なんであんた知ってんだよ」
差し出した手に水を掛けて、佐助は顔を歪めた。
「ふん」
吐き出す息が白い。
「便所から戻る度に青い顔をしていておもしろいと言っていたぞ」
「してねえよ! ちょっとしみただけじゃん」
「おまえ自分でよくそんなになるまで触れるな」
吊した手拭いが凍っているのを見て、幸村は帯の辺りでてきとうに手を拭いた。
「ちょっとなにその言い方! あん時は単に運が悪かったんだよ!」
「病気に運もくそもあるか」
「病気じゃねえし!」
どうだか、と幸村は着込んだ佐助の足許を見た。
「ところでこんな夜中にどこへ行っていたのだ、佐助」
んっ、と忍は妙にかわいらしい声を出した。
「夜中って?」
「朝か今は」
「あんたが早寝しすぎなんだって。まだ暮れ六過ぎじゃない?」
「こんなに冷えて暮れ六でたまるか。熊でも死ぬぞ」
「いやあ、だから人間様にはあったかいおふとんがあるんじゃないかなあ」
ふうっと縮めた提灯を吹き消す。一瞬ろうそくの形が目の中に残って、幸村は目を細めた。
また後で書きにくるでござる
下はサンプル
さすけ捕獲
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奥州まで忍を連れ帰る間、全ての処置は、小十郎がした。
「触るな」
いざ陣払いして引き上げるという時も、この忍のことは全て小十郎が取り仕切って手を出させなかった。
「今これに吸われたら、魂の根まで取られるぞ」
いいから行け、と追われた足軽が、おろおろと政宗を振り返った。
「筆頭、小十郎さんが……」
「ほっとけ」
首の後ろの留めを外すと、鍛鉄の喉輪は妙に軽い音で手のひらに落ちた。
「面倒なことは小十郎にさせとけ。どうせおまえじゃ真似できねえ」
目が霞む。
戦の後、日が暮れ始めると、もう政宗の目は早い。小手を抜いた手に喉輪を握る。じんわりと肉のような熱さが沁みて、政宗はそれを足軽の手に投げた。
「仕舞っとけ。もうしねえ」
「政宗様」
こちらを振り向きもせず、小十郎が声だけで主を咎めた。
「まだ奥州へ引き上げたわけじゃあ、ないんですぜ」
「小者が潜んでいるとでも言いたいのか?」
政宗は口を歪ませて笑った。
「そんなもの、おれが斬ってやる。この戦、まだやり足りねえ」
小さな音を立てて、稲妻が細く首をもたげる。それが指先を伝うのを見ながら、政宗は笑った。
「とんだパーリィってやつだ。なあ、小十郎」
「ご油断召されるな」
渋いままの声で返して、小十郎は、きいっと糸を噛み切るしぐさをした。
「こんなもんの縁者がうじゃうじゃ出てきたんじゃあ、小十郎一人ではとても捌ききれません」
「別におまえが出張る必要はねえだろう。おれが叩き斬ってやるよ」
「並の者ならこの小十郎も安心してお任せいたしますが」
薄闇の中で、小十郎が口許から引いた糸は、妙に白く見えた。
「こいつァ──いけねえ」
しゅうっと引いた糸で、小十郎は自分の親指の付け根を括ると、また懐から出した時と同じように、きいっと硬い音をさせて噛み切った。
「よくこんな男つくりやがったな……」
右と左と、親指に白い結び目をつけて、小十郎は心からというように苦い息を吐いた。
「かわいそうに」
小十郎は灰と泥にまみれた顔をなでた。
「生きながらの地獄ってのは……むごいねえ」
政宗は目を逸らした。
もう吐くものも吐き尽くしたのか、汚れた口をしたまま、忍はぬかるみに投げ捨てられた時の姿で、汚れた肌を晒していた。
「そいつ……生きてるんすか」
陣幕の陰から手桶を抱えた男が覗き込む。
さあなとだけ政宗は答えた。
「生きてようと死んでようとおれらにゃ関係ねえよ」
乱暴に手桶を引き寄せて、政宗は唾を吐いた。
「生死不問──そいつの命気にしてやってんのはせいぜいあの野郎だけだろうよ」
真田幸村、と竜は隻眼を細めた。
「まあ、立ち上がってこられればの話だがなァ」
そうだ。あれが立ち上がってくるのなら、だ。そうでなければこんな男、なんの興味もない。
猿だなんだとうるさく言っていたが、政宗にとってみればこれこそが何の値打ちもない草に過ぎない。刈ろうが焼かれようがどうでもいい。ただ己の道行きに生えるのが耐え難く邪魔だ。
「小十郎」
はい、と返事をする腹心へ、政宗は言った。
「無理に生かさなくてもいい」
「いえ」
またきいっと糸を切る音がした。
「来るでしょう」
小十郎が淡々とこたえた。
「あれはそういう男です」
忍の手に、なにかまじないのように糸をくくって、頬傷の男は政宗を振り返った。
「虎狩りは──雌伏を味わわせてこそのたのしみですぜ」
その顔は、政宗ですらぞくりとするほどの、凶相だった。