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捏造本。
「一番東」副読本みたいな感じです。
サイトの「泥より黄金光り、」とかの前とかっぽいです。

あらすじ
近頃世間では織田が非常に跳梁跋扈しております。
甲賀のある近江は毎度毎度織田に迷惑しておりました。
よって甲賀は佐助たち戦忍を甲斐につけることにしました。
「いつか織田を倒すお手伝いをしてくるのじゃ!」
甲斐に希望を託す甲賀…そんで迎えに行って来いって言われた昌幸…留守番してる弁丸…
だいたいそんな感じです。

山のような捏造が無限にぎゅうぎゅう☆ なので、苦手な方はご注意ください。

主な捏造
・とうちゃん昌幸
・甲賀の仲間たち
・真田の人たち
・幸村の実母はどっかのお姫様
・を昌幸とうちゃんが引っさらってきました
・そんで幸村誕生
・佐助の父親は尾張 母親は近江
・闇はだいたい尾張産 闇はだいたい白髪

みたいな感じです。
特にR18もなければ負傷等もないですが、あまりに捏造なので、その辺よろしくまんうじゅうでござる。
ちなみにゆきむらとさすけは作中出会いません。
すんません。
あと作中「 しめじにまいたけ、くりたけ、つきよたけ。佐助たちでもおいしいと知っているものばかりだった。 」という一文がありますが、 「つきよたけ」は有毒です。
だって弁丸様、きのこ取らせたら、ほんとに上手に毒きのこ混ぜて取ってくるんですもん」の弁丸様をばかにできません。 
てへ☆


>>>>



 朝のうちに西から鳥が飛んできて、今日にも戻ると告げたので、上田の屋敷は大わらわだった。

「鶏を絞めよ、鶏、鶏」

「鯉は食えるか。池で泥抜きしておいたろう、大きいのはいるか」

「小さいのは鮒だ。間違えるなよ! 豆は戻っとるか豆は」

「あー、芋、芋」

 皆が皆でてんでばらばらに夕飯の準備をしようとしていて、厨は妙にがらんとしたり、急にぎゅうぎゅう詰めになったり、いつにない混乱を繰り返していた。

「炭、炭、薪、薪」

「あっ、火が消えておるではないか! 参ったな!」

 火、水、とあまごを提げた男や、生米のざるを抱えた女がおろおろと出入りする。

「ますの筋子抜いたか。しょうゆ漬けがあっただろう。飯にのせろよ」

「塩? 塩か! 塩!」

「串! 串寄越せ串! 鮎用じゃないぞ!」

「浴場も用意しておけ。そうだ寝場所は決めたか、枕はあるか?」

「あ、明日の洗濯どうしましょうねえ。竿足りるかしら」

「ああ、そういえば物干し竿はさっき柿取りに行ったやつらが持ってたぞ」

「そりゃ一大事だ! あいつらに触られては無事に戻ってこんぞ! 予備を出せ予備を!」

 わあわあとみんなが浮き足立って集まって、厨で言っても詮ないことまで相談している。

「なあ、おれも手伝うぞ」

 そう言って一遍目ははいはいといなされ、二遍目は部屋に戻るように諭された。

「なあ!」

 いい加減ぶすくれて、炭を積んでいた男の袖を引くと、男はひょいと外を覗いて日の具合を確かめた。

「ん、まだ間に合いますね」

 それでようやく自分にも用事ができると思ったら、弁丸は両手に手鍬と籠を持たされて、お願いしますと外に出された。

「な、なんだこれは!」

 男は黒くなった手で顔を拭いながら、にかっと笑った。

「山芋掘ってきてください、三本」

 それを聞いて、弁丸はしおしおと力を失った。

「山芋は苦手でござる……」

「そこをなんとか」

「なんともならぬ……」

「なりますって」

 男は炭俵を解いて中を開けている。煤がきらきらと射し込む光に舞う。

「きのこではだめか」

「だめです」

 とりつく島もない。男は弁丸が山芋掘りが苦手なのを知っているのだ。里芋や甘藷ならともかく、山の芋は折れる。力任せに引き抜くことができないのに弁丸は焦れてしまう。黙々と山土に向かい合っているのはどうも苦手だ。

「だって弁丸様、きのこ取らせたら、ほんとに上手に毒きのこ混ぜて取ってくるんですもん。こんな忙しい時にあれだけ巧妙に仕込まれたのしっかり仕分けられるわけないでしょ。死んじゃいますよ。おだぶつです」

「ならまつたけだけ探す……」

「あんたどんだけ山奥まで行く気ですか」

 弁丸があれなら間違わぬとごねるのに、男はかちかちと炭を鳴らして追い払った。

「山芋三本! 裏山に蔓出てますから! おやつ時には帰って来てくださいね!」

「三本も取れぬうううう」

「そこをなんとか」

「ならぬうう」

 うう、と弁丸が唸っているのをかわいそうに思ったのか、厨の女が焼き餅に味噌をつけてくるんでくれた。

「い、行きたくない……」

 けれどもそこまでされて尚ぐずぐず言っていられるほど弁丸も情けない男ではない。

「行ってくるでござる……」

 しょんぼりと厨の戸をくぐるのを、男が真っ黒な手のひらを振って見送った。

 今日、父が西から帰ってくる。

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ざっくりと要約
・真田さんと猿飛さんは任されたお城を退いて逃げることになりました
・ので猿飛さんは真田さんをとても心配してお互いに化けて逃げることにしました
・よって本文中のビジュアルは「真飛佐助」と「猿田幸村」です
・ゆきさ
・後編の「待燕」を次のイベントで出す予定です(完結)

ちなみに、書いてる途中ではっと我に返って、「別にお互いに化けなくていいんじゃね…?」と思いましたが、そこは…しょうがない…
一番安全に逃げるんなら、全然ふつうの一般市民に化ければいいよね…と気がついた…
はっ、そういえば。まじでか。
佐助あほのこですやん! まじめっぽく言ったのに!
ということがありました。
残念です。(完)



>>>



  たのもう、と正面の木戸が叩かれた時、家中の者は皆遅い夕食の時間だった。

「──たのもう! お頼み申す!」

 外は雨が降っていた。昼間ではよく晴れていたのが、夕方の風を聞く時分からにわかに掻き曇り、そうかと思うとつぶてのような雨が降った。店先の板屋根にもはぜるような音で降りしきり、前の道はたちまち赤土の川のようになった。

「たのもう!」

 その声のしたのは、そうして駆け込みの客の片付いた後、降り出してずいぶん経ってからだった。

「千加、お千加」

「はあいー」

「表、開けてきてやっておくれ。峠を越え遅れたお客さんだろう。代えの着物と、足洗を持っていっておくれ」

 はあいー、と帳場の横の控えから足音が立つ。もうここに勤め始めて二年になる。千加は気働きの利くいい子だ。次の藪入りには何を持たせてやろうかと思いながら、与兵衛は膳に箸を置いた。

「ごちそうさま。表を見てくるよ」

「はいはい」

 空いた椀を片付けながら、妻が厨の方を見た。

「ともかく餅でも焼かせてきますね。お酒もつけておいた方がいいでしょうか」

「ばかだねおまえ、それよりきっとお風呂だよ」

 人数の多い店でもない。脇に外しておいた前掛けを着けて、与兵衛は襖を開けた。むっとするほど濃い雨が匂う。これは明日しっかり磨いておかなければあちこち青くなってしまうだろう。きつい夕立だ、と独りごちて、与兵衛は主の顔を作った。

 雨の音がする。

「ご主人……」

 ごうごうと響くほど降っていた。

 白だ。

 戸口の向こう、表は真っ白な雨が降っていた。

「それがし……」

「はいはい、わたくし諏訪屋主人の与兵衛と申します」

 足許に吹き込む。表を開けた拍子に浴びたのか、千加の着物がまだらに濡れていた。

「これは大変なお天気でございました。お侍様、お泊まりでよろしゅうございますね。今日はもうこれ以上行かれることもございませんでしょう」

「ああ……」

「……お二人ですか?」

 そう聞いた自分に驚いた。

「そうだ、二人だ」

 それでようやく、与兵衛は影の二人あることに気づいた。

「構わぬか、ご主人」

 傾けた笠の端から雨が落ちる。軒から顔を突き出して、侍は与兵衛の顔を向いた。

「すまぬな」

 人懐っこく笑ってそう言って、侍は戸口をくぐった。骨張った手が、したたる髪の水を切る。

「……赤毛なんですねえ」

 与兵衛は笠を受け取りながら、ぼんやりと口にした。

「ああ」

 子犬のように体を震う。手拭いを差し出したまま、千加が袖でしぶきを防いだ。

「これ、千加手拭いを……」

 その時、横からふうっと影が差した。

「あんた、それじゃ乾かないから」

 ごめんね、と後ろから抜けるように男が手を伸ばした。

「それちょうだい」

 外した笠の下から、後ろ髪の一筋長いのが蛇のように見えた。

「ありがと」

 何をするでもなく、取り上げた手拭いの代わりに千加の手に笠を掛ける。ただそれだけのことが手品のようにするすると進む。男の通り過ぎた戸口は、いつの間にか閉ざされて、雨の音はもう遠くのことのように聞こえた。

「部屋、どこが空いてる?」

 それが自分に向けられた言葉だと一瞬気がつかなかった。

「ご主人?」

 は、と思わず声が出た。

「あ、ああ、一番奥ですがよろしいでしょうか。あの、二階の奥なのですが」

「構わないよ。ねえ、こんな時分に来たおれらが悪いんだし……ごはんだったんでしょ?」

「え、いえ、そんなことは」

「ごめんね、邪魔して」

 千加はぱちぱちと瞬きをして、赤毛の侍を見ていた。侍もその視線に気づいたのか、何を言うでもなく、じっと千加を見つめている。まだ小柄な千加はすっかり見下ろされるような体になって、目をまんまるにしている。

「あの、お侍様、お着替え、あの、あと足洗も……」

 泥、と千加は妙に緊張した顔で、上がりの籠を指さした。

「ああ。これでは上げてもらえぬな」

 赤毛の侍は泥を吸った草鞋を見て笑った。脚絆に括りつけた紐まで黒い。土間には二人の足許に雨の染みができていた。

「着替えるか、さす──」

 け、と名を呼んで、侍はなぜかうろたえた気配を出した。

「い、いや、だ──旦那か?」

「なんでもいいよ、もう」

 あきれたようにため息をついて、もう一人が長い髪を払った。

「着替えは後でいいや。悪いけど、このまま体拭いて、先にお風呂もらってもいいかな?」

 とろりと、声に質感があるのだとしたら、とろりと、その声は与兵衛の耳に忍び込んだ。

「ごはんは部屋入れてもらってていいかな。お風呂上がってそのまま着替えて行くから、戸のところに着物置いといてくれる?」

 手拭いの白が男の顔を隠す。特段伏せているわけでもない顔の、その印象をちらちらと蝶のように動く白が邪魔をする。袖を拭き、衿を直して、脚絆を解く指が白い。

「行こうか」

 気がついた時には、男は框を上がって与兵衛を見下ろしていた。腰に帯びた黒鞘がしずくを垂らしている。帯刀だ、と与兵衛は僅か緊張した。

「奥?」

「あっ、あたしご案内します!」

「そ、ありがと」

 笑った、その顔に、魅入られた。

「先行くね」

 こちらです、と千加の導く先に足音の遠ざかるのを見送って、与兵衛は不思議なものを見たような心地になった。笑うはずのないものが笑ったような、動くはずのないものが、己に口を利いてくれたような。

「お連れ様、おきれいな方ですな」

 まだ侍はもたもたと袴の裾を絞っている。

「きれい? 何がでござる」

「いや、なにとも言えませんが」

 器用そうな指をしているのに、脚絆の紐も半ばで解きかけておいてあるのが、なんとなくおもしろかった。しきりにずれ落ちるのを直す、背に負った長包みも中は刀であるらしい。先の侍といい、荷物の少ない連れだと思った。

「脚絆が取りにくいご様子。お手伝いいたしましょうか?」

「いや、さには及ばぬ!」

「でもなんだかずいぶんお手間取りのご様子じゃありませんか。きっと雨で紐が締まってしまっているんですよ。手も冷えているでしょうし」

「いや、できる!」

 そう言うと、赤毛の侍は辛抱が切れたのか、脚絆ごと無理矢理草鞋を足から抜いた。

「それはまたなかなか……」

「残りは風呂でもいただいて落ち着いてから部屋でする!」

 乱暴に手足を拭って框を上がる。

「風呂場は奥でござったな!」

 さようで、と言いながら、与兵衛は一瞬剥き出しになった男の脛に目を取られた。

「今日はもう続きのお客様もおられないでしょうから、お二人でごゆっくりお浸かりください」

「かたじけない!」

 袖口から雫を落としながら、体つきの割に重心の低い足取りで男が廊下の角に消える。

 それを見送って、与兵衛は、刀傷だな、と思った。

 結局二人とも差料を預けなかった。

「いと、いと」

 奥に向かって妻の名を呼びながら、与兵衛は今日は子供を奥の間に寝かせようと思った。

内容の概略
・全部ねこです
・ねこみみとかしっぽとかではなく、まるごとねこ
・佐助くろねこ 幸村とらじま
・前に出した「とらねこ野」と同じシリーズ
・前回出会い編 今回はちょっと馴染んだ編
・残念なことに表紙の絵の幸村が完全にトラッキーくん
・管理人の画力ここに極まれり
・阪神優勝しますように(私情)

・ちなみにくろねこ佐助は前は灰色お師匠様に拾われてしろねこかすがと一緒に暮らしていましたが
・かすがが謙信様(たぶん白い龍かなんか)のところへお仕えしに行ってしまったので
・幸村が来るまでは広いおうちに一人暮らししてました
・慶次は佐助のお友達
・的な感じ

・なので別に前の読んでなくても大丈夫と思います
・巨大なパラレルにゃんにゃんBASARAでござる



>>> 



佐助が怒った。

「え」

 帰ってきて、巣穴の前の光景を見て、佐助はそう言った。

「……旦那、なにしてんの?」

 その瞬間まで、幸村はご機嫌だった。

 もう雨の季節も半分過ぎた。今日は朝から晴れの日で、佐助は行ってくるねと出掛けてしまった。きっと慶次と二人でおもしろいことをしているのだ。連れて行ってとねだったのに、佐助はてきとうにしっぽを振って、そのうちね、と言った。佐助はそればっかりだ。お昼には幸村はもうすっかり退屈してしまって、ころころ転がって巣穴から出てしまった。

「うー!」

 ひまでござる、と空の色を見てまたころころと戻る。

 そうやってころころしているうちに、幸村は転がるのがものすごくうまくなった。今ならきっと石ころよりも速いと思う。しかもかっこいい転がり方まで編み出した。壁の方に足を向けてきゅっと縮まる。そして思い切り壁を蹴って飛び出して、一気に外まで転がった後、ここからが重要だ。

「真田源二郎幸村──見参!」

 とうっと思い切り立ち上がる。

「みなぎるァ!」

 しっぽはぴんとして、耳も真ん前にぴんとする。

 そのまま吼えると、ものすごくかっこいいと思う。

 幸村は一日そればかり練習した。

 でも、あんまり練習しすぎて巣穴の周りの草がすっかりぺったんこになってしまって、気がついた幸村はちょっとどきどきした。

「く、草殿……」

 ぺったんこになってしまった草は、幸村ががんばって鼻先でくんくんしてもぺったんこのままだった。

「お、怒られるでござる……」

 佐助は夕方草の上でのんびりするのが好きなのだ。ひんやりして涼しいよと幸村も隣でごろごろする。おなかとか足の後ろとか、昼間遊んでいて汚れたところを佐助がきれいにしてくれて、幸村もちょっと佐助の毛づくろいを手伝ったりする。でもほんとうは佐助のしっぽをかじって遊んでいるだけなのは秘密だ。それにしっぽも好きだけれど、佐助の足の裏をなめたり、首の後ろや耳の横をかじるのもすごく好きだ。

 幸村はしましまの前足をつっぱって、ぶるぶるっと震えた。

 佐助は、真っ黒だ。

 佐助は耳もしっぽも真っ黒で、目だけきらきらして緑色をしている。幸村の家族はみんな同じ黒と金のしま模様なのに、佐助は全部真っ黒でどこにもしま模様がない。佐助も冬になったらしま模様になるのだろうかと思ったら、そんなわけないでしょといやな顔をされた。

「なんと!」

驚いた。佐助は一生真っ黒らしい。しま模様の毛皮は冬ものすごくあたたかいのに、と幸村はしょんぼりした。

「いいでしょ別に。おれさまが白かろうと黒かろうと旦那に迷惑かけるわけじゃないでしょ」

 それきり佐助は不機嫌になってしまって、その日は夜まで一日木の上に登って幸村のことに構ってくれなかった。悲しくなって佐助のいる木の根っこをがりがりしてみたけれど、佐助はそこにいたら鳶にみっかって食べられちゃうよと言うだけで、全然降りてきてくれなかった。

「どっか藪の下にでももぐってれば」

「いじわるでござる!」

 木の上のくろねこは、緑の目をちょっと細めて、知んない、とつぶやいて幸村に背を向けた。

「さすけえ!」

 うわあんと泣いて、幸村はそのまま遊びにも行かずに根っこの隙間に小さくなって一日を過ごした。時々佐助が降りてきてくれるんじゃないかと思って枝の上を見上げて見たけれど、佐助はまるでいないふりで葉っぱの間にいる。おかげで幸村は佐助のことが少しきらいになった。

「旦那」

 でも、夕暗がりに日の落ちる頃、おうち帰ろ、と木から音もなく幸村の横に下りて来て、ごめんと鼻をなめてくれた。

「佐助……」

「うん」

 なめらかな毛並みが幸村の首筋に触れる。

「帰ろ」

 しましまに黒い体をぎゅうっとくっつけて、佐助がしっぽを揺らす。幸村よりずっと長くて、きれいなしっぽだ。

「さすけえ」

 そのしっぽを見ていたら、幸村は体中が涙でいっぱいになってしまった。

 ごめんて言おうと思った。

 佐助にごめんって言おうと思ったのだ。

「ごめんね」

 なのに、佐助がそう言ってしまうから、幸村は言い損ねてしまった。

「……一緒に帰るでござる」

 泣かないように、やっぱり佐助の背中に顔をぎゅっとして、幸村は佐助にごめんと言えなかった。

 くっついたまま、鼻先がひとりでにきゅんきゅんする。体が涙でいっぱいになる。でも、男は泣いてはいけないのだ。泣いたのがみつかったら、幸村は兄にからかわれて恥ずかしいことをされてしまう。

「……旦那、泣いてんの?」

 なのに、佐助がそう言うから、幸村は顔をうずめたまま、顔をくしゃくしゃにした。

「泣いてないでござる!」

「……はいはい」

 うわあん、と、背中でまんまるになった幸村をしっぽで降ろして、佐助はしょうがないなあと巣穴へ帰った。幸村をくわえた足取りはいつもよりちょっとひょろひょろしていて、幸村は草の先っぽでおしりがくすぐったかった。

「ほら、旦那、見なよ。あじさいきれいだよ」

 笹とつつじの茂みを抜けて、佐助と幸村の巣穴が見える。

「おれ、あの色好きなんだ」

 巣穴の入り口をきれいな水色が縁取って光る。

「きれいでしょ」

 あじさいの水色を見つめて、佐助は目を細める。

 きれいな水色のあじさい。

 昔、幸村が佐助に拾われる前、佐助はきれいなしろねこと一緒に暮らしていて、あの花は佐助がその子にあげたものなのだ。巣穴の入り口に置いて、毎日大事に水をあげているうちに、根っこが出て大きくなったらしい。水色のきれいな花。やわらかい葉っぱは、しずくをなめると甘くておいしい。

 水色の花。

 そうだ、このあじさいは佐助のお気に入りなのだ。

「む!」

 思いついたでござる、としっぽをぴんとして、幸村はぴょんぴょんとまあるい花へと飛び跳ねた。

・だいたいなんか全部エロ
・なので他愛ないところを抜き出しました
・サンプルは全年齢
・本はR−18
・サークルはゆきさ

・さわりっこ→きもちいー→当然のっかる真田
・さわりっこ→きもちいー→そんなんまったく聞いてないですけど!? 佐助
・佐助に下になる予定はない
・真田にもない
・やー、ひじょうに残念です
・のっかり
・的な話

・エロ部分は現年齢くらい
・それ以外はちん毛生えてないくらいとか
・が相変わらずてきとうに交差します
・あとカップリングとかには関係ないけど、世話役の女中さち一家を捏造
・てきとうに確認してください

・18歳以下には売りません買えません触れません
・よろしくまんじゅう



>>>





  夕方、ふらふらと佐助が出かけていく。

「どこへ行くのだ」

 庭を横切る影に問う。

「えー」

 いいとこー、とだけ答えて、影は裏木戸をくぐる。

「旦那はいい子でお留守番しててくださーい」

 白い手をひらひらと振る。

「いってきまーす」

 忍のしぐさに、なんとなく小馬鹿にした雰囲気を感じて、幸村はむかっ腹を立てた。

「なにをう」

 何がいい子だ。帯に挟んだ根付が光っている。あれは佐助の気に入りの水晶だ。あんなのを着けて行くなんて、どう考えてもよくない匂いがする。

「おまえ、こっそりいかがわしいことをしに行くのだな!」

「なっ」

「知っているぞ! そんな感じがする!」

 縁側から叫ぶと、一枚の墨塗りのようになってしまった忍が言い返した。

「誰がいかがわしいっての! おれさまほど清らかな忍がいるかよ! 旦那の破廉恥! ばか! 破廉恥って言う方が破廉恥! どこに行こうとおれさまの勝手でしょ! ばか!」

「さちに言いつけるからな!」

 夕闇の中で、佐助がぶううっと膨れ上がった。

「破廉恥破廉恥うるせえな。ばか! んなもんちん毛生えてから言え!」

「なっ」

「ばか!」

 ばかあほと言いたい放題に言って、佐助は築地塀の向こうからひょいと上半身を覗かせた。にやあっと白目がいやな色に光った。

「あんたこの前馬方のやつと言い合いしてたでしょ」

「な、なぜ知っている……」

「おれさま何でも知ってるもん」

 腕組みの上で忍の顔が笑う。人の背より高いところに上半身だけ見せて、佐助はなにか夕方の化け物のようだ。

「そん時おれさま聞いたんだけどさーあ」

 いやな予感がした。

「――あんた、生えてんだって?」

「わーっ!」

 幸村は叫んだ。

「おれさま昨日あんたが風呂上がりにぶらぶらしてんの見たんだけどさーあ」

「わーっ!」

 全然つるつるだったよねえ、と言う声に、幸村は手近にあった下駄を投げた。

「佐助ええええ、黙れっ!」

「つるつるだった」

 つるつる、と笑って、忍は顔を引っ込めた。

「安心して安心して。おれさま誰かに聞かれたらちょう言っといたげるね。真田の旦那は生えてるらしいけどちょうつるつるだって」

「言うなっ」

「恥ずかしー。旦那、見栄張っちゃって恥ずかしー」

「破廉恥だぞ!」

「そうねー、恥ずかしー、旦那のおちんちんつるつるー、恥ずかしー、旦那のおちんちん破廉恥ー」

「黙れっ」

 木戸の陰から覗くのに、思い切り履物を投げつける。

「忍がそんなもんに当たるかよ」

「佐助っ」

 下駄は思い切り柱にぶつかって跳ね返った。

「おれは破廉恥ではないっ」

「そうね、単にちんこつるつるなだけだもんね。別に恥ずかしくねえよ」

「う、う、う」

 頭がくらくらする。

 それを見ながら、佐助は猫なで声を出した。

「旦那のおちんちんかわいいねえ」

「お、お、お、おまえにおれの何がわかる!」

「見た目とか?」

 きょとんと首をかしげて、佐助はいじめっこの顔で笑った。

「まあ、みんなもう生えてっけど。旦那遅いね」

「黙れえええええ」

 幸村は真っ赤になって手当たり次第に物を投げた。

「もー、縁側下りられなくなっちゃうじゃん。ちょっと、後でちゃんと拾っといてよ。おれさま知んないからね」

ひょいとからくりのように首を引っ込めて、佐助はちらちら手だけ振ってみせた。

「じゃあねー」

「むううううう」

 そのまま遠ざかる気配に、不覚、と歯噛みしながら、幸村はその夜なんとなく辺りを丁寧に洗って寝た。

「……む」

 もちろんそんなことで突然ぼうぼうになれるわけもなく、相変わらずのまま三日ほど過ごして、ようやく幸村は己の忍が帰ってきていないのに気がついた。

収録
・「雪に眠る」(R-18)
・「積雪短篇」
・「十の島」(R-18)

サンプルは各項目で見てくださーい。

本文とは別にサイトに入れてないやつの拍手再録のおまけ本がついてました。(終了)
別冊おまけは26ページ。

・「アキナマヤ」(佐助唐突に女体化)
・「トリナイエ」(両方唐突に女体化)
・「ケイミワイ」(真田しっぽ生える)

数に限りがあります。
内容的に苦手な人は断ってください。
よろしくまんじゅう!
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